
※動画:緑が濃く茂った砂利敷きの山道。路肩に寄って立っているハイカー3人のうち、真ん中の女性のすぐ後ろで、クロクマが1頭、二本足で立ち上がっている。前脚を女性にかけて体をもたせかけ、頭のすぐ横まで鼻先を寄せている。女性は背中を向けたまま一切動かず、手にはスマホを持ったまま。少し離れて立っている連れの1人は、時々こちらを振り返って笑っている。15秒ほどしてクマは四つ足に降りるが、そのまま真横に居座って鼻先を向け続ける。クマがそこにいる状態のまま動画は終わる。誰も襲われていないし、誰も走って逃げていない。元投稿のタイトルは「クロクマがハイカーの一団に近づく、心臓が止まるような瞬間」
heart-stopping moment a black bear approaches a group of hikers
肝が据わりすぎだろ。俺だったらあの落ち着き方は絶対に無理
ちょっとお前のパンツにお漏らししといたわ
――またかよ! いい加減にしてくれ
――気が利くじゃないか
無理
「よお、俺のほうがいいらしいじゃん」——たぶんクマの心の声
※訳注:数年前に英語圏のSNSで大きな話題になった「森の中で二人きりになるなら、見知らぬ男とクマのどちらを選ぶ?」という問いかけのこと。「クマ」と答える女性が続出して論争になり、以来クマの動画にはほぼ必ずこのネタのコメントが付く。
クロクマなら、両手を頭の上まで上げて、手を叩いて大声を出せば逃げていく。……まあ、脚に抱きつかれた後で試すには遅すぎるけどな
――あの場は3人プラス撮影者だぞ。全員でありったけの声を出すべきだった
クロクマなんて要するにデカいアライグマだよ。ゴミを漁りに来てるだけで、脅せばすぐビビって逃げる
――ビビりなのは同意する。ただ、今まさに掴まれてる状態で脅すのが正解かどうかは分からんぞ
※訳注:英語圏ではアライグマは「ゴミを漁る小賢しい生き物」の代表格で、trash panda(ゴミパンダ)という愛称でネタにされている。「デカいアライグマ」は「怖そうに見えて実態はただの食い意地」くらいの意味。
いや、アライグマにこれができるか? 少なくとも道具なしじゃ無理だろ
車のドアをこじ開けるクマ
一部はそうだよ。でも捕食目的で人を襲って、殺して食うクロクマもちゃんといる。Wikipediaにクマによる死亡事故の一覧があるから見てみろ、クロクマの分もしっかり並んでる。「比較的無害」だと思ってる人がこんなに多いのが本気で不思議なんだ。ヒグマより危険度が低い面があるのはそのとおり。でも「デカいアライグマ」はない。そのデカいアライグマ、普通に人を殺すぞ
追いかけられてるけどクマの種類が分からない、というときはとりあえず木に登れ。追って登ってきたらクロクマ、木ごと倒したらグリズリーだ
――木が一本もなくて氷しかなかったら、それはホッキョクグマな
黒なら反撃、茶色なら伏せろ、白ならおやすみなさい
※訳注:英語圏で広く知られている語呂合わせ(If it's black, fight back. If it's brown, lie down. If it's white, good night.)。クロクマ/ヒグマ・グリズリー/ホッキョクグマの順で、最後の「おやすみ」は「もう助からない」という意味のブラックジョーク。
悪いけど、その語呂だけで覚えるのは危ない。クロクマ:襲われたら反撃する。死んだふりはしない。木には登らない(向こうのほうがはるかに登るのが上手い)。グリズリー:ゆっくり後退する。突進されてもその場に踏みとどまる。接触されたらうつ伏せになって、脚を広げて伏せる(丸まらない)。木登りでは助からない。ホッキョクグマ:詰み。走るか、戦うか、死ぬか。あいつらは本気で人間を狩る
――付け足すと、クロクマは人間よりずっと力は強いけど、痛い目に遭うとすぐ引く。鼻を殴られたり蹴られたりすると逃げることが多い。ヒグマは突進してきても直前で止まったり、真横をすり抜けたりするから、動かずに踏みとどまる。どのみち走っても無駄だ。向こうのほうが速いし、泳ぐのも木登りも上
よりによってフルーツの香りのシャンプーを使う日じゃなかったな……
――銘柄まで特定してる人がいて、マヌカハニー配合のなめらかクリームタイプらしい。そろそろ見直したほうがいい
これツキノワグマだろ。アメリカのクロクマとは別種で、ひと回り小さいんだよ
――いや、ツキノワグマ(英語だとムーンベア)はもっとずんぐりしてて、毛もふさふさしてる。撮影地は知らないけど、これはどう見てもアメリカクロクマだよ
ツキノワグマ
言われてみれば確かにそうだ。ちなみにこれ、メキシコで撮られたものらしいよ
――えっ、そうなの? てっきり日本かと思って「日本にクマ撃退スプレーって売ってないの?」って書き込むところだった
人類はどこかで進化の線を越えたんだと思う。野生のクマに皿の上の駒みたいに押されてるのに、あの女性はまだスマホをいじってるんだぞ。最近の地震の映像でも、崩れてくるビルの真下で上を向いて撮ってる人がいたし、海に突っ込んでいく飛行機の中から一部始終を撮ってた乗客もいた。「今から死ぬな。よし撮ろう」だぞ。すごいよ
――言いたいことは分かるけど、その飛行機の乗客に何ができたっていうんだ。腕をバタバタさせろとでも?
目を合わせず、正面を向かず、立ったまま抵抗せず、動くときはゆっくり——あれは90年代から2000年代の自然ドキュメンタリーで見たやり方を、そのままなぞってるんだよ。正式に習った対処ではないんだろうけど、「何も考えてない」というのはさすがに的外れだと思う。それにあのクマ、耳を伏せてもいないし唸ってもいない。襲う気で来てるんじゃなくて、知らない匂いを確かめに来ただけだ
元スレ: https://imgur.com/gallery/heart-stopping-moment-black-bear-approaches-group-of-hikers-eMtcppc

コメント一覧 (6)
ヒグマやツキノワグマなんかと比べると植物食傾向が強くなったクマの進化形や
だから人を襲う例も少ない、比較的安全なクマや
比較的安全とは言ってもクマはクマだから安心なんかできんが
親が居たらやべえよ
1つ目の動画はどういう状況だろうな
女の子たち落ち着いてるようにも見えるが
そりゃバタバタしたり叫んだり泣いたりしろって言ってんじゃねえよな
なーんも考えずに動画撮ろうと習慣で動いてるやつの声がでけえのはみんな知ってる事だが、こいつも「冷静なつもり」だろうなあ
割と臆病でおとなしいんだよね
アメリカで一番多いのはこのクロクマ